婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
あの日、宮殿の大広間は静寂に包まれていた。

クリフが家臣たちの前で宣言をするという知らせに、誰もが息を呑んだ。


私は、心のどこかでこの日が来ることを覚悟していた。

けれど、いざその場に立ち会うと、胸の奥が締めつけられて言葉を失った。

クリフは凛とした表情で、はっきりと宣言した。


「私はアーリンとの婚約を破棄する。これ以上、彼女を欺くわけにはいかない。私はセシリーと結婚する。」

その声は揺らぐことなく、誰にも否定の余地を与えなかった。

国王も王妃も、静かに彼の言葉を聞いていた。

反論はなかった。何も言わなかった。


その沈黙が、私にとって何よりも痛かった。

一週間後、セシリーは正式に皇太子妃となった。

お妃教育も受けずに――まるで急いで仕立て上げられたかのように、彼女は新しい冠を頭に戴いていた。

私はただ、遠くからそれを見つめることしかできなかった。

あのクリフの笑顔は、もう私のためのものではなかった。


私の未来は、知らない誰かに奪われてしまった。

だが、心の奥底で一つだけ、確かなことがあった。

私は、これからの道を自分の足で歩かなければならないのだと。

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