婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「火はちゃんと消したのよ!」

私は声を張り上げた。涙で視界が滲む中、ミーシャの包帯だらけの腕が目に入る。

「でも現に火事になったじゃない!私は火傷までしてるのよ!」

ミーシャの叫びが、胸に鋭く突き刺さった。


わざと……?本当に火をつけたの?

でも、目の前にいる彼女は痛々しく火傷を負っている。

私は混乱して、ただその姿を見つめることしかできなかった。

「私じゃない……本当に……」

声が震える。私は嘘なんて言ってないのに、疑われるような状況が悔しくてたまらなかった。

その横で、グレイブが苦しげな表情で黙り込んでいた。

「アーリン……」彼は私を見つめる。でもその瞳には迷いがあった。

私を信じて……でも、彼の目はミーシャの包帯に何度も向けられていた。

そのたびに、胸の奥がぎゅっと締めつけられる。

私と、ミーシャ――どちらの言葉を信じるの?

この人が選ぶ言葉に、私はすべてを委ねてしまいそうだった。
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