婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
「私はやっていない!」

叫ぶ私の声が宮殿の石壁に虚しく響いた。

それでもクリフは、何もかも悟ったような目で私を見下ろし、冷たく言い放つ。

「……私の愛人になるなら、罪は見逃してやろう。」

その言葉に、体が震える。怒りで、悔しさで、心が張り裂けそうになる。

「私はやっていない。なのに“見逃す”?」

言葉を絞り出すと、クリフは口元だけで笑った。

「真実なんて、権力の前ではどうにでもなるものだ。君も、それくらい学ぶべきだったな。」

胸の奥から熱いものが湧き上がる。

「なら、あなたの“真実”なんて要らない! 愛人にもならない! 愛のない生活も、あなたの傍も、何もかも欲しくない!」

はっきりと告げた私に、クリフの目がわずかに揺れた。

けれど次の瞬間、冷たい声が再び落ちてくる。

「そうか。それが君の選択だな。ならば……罪人として牢に入ってもらう。」

世界が音を失った。私は、冤罪のまま闇へ落とされようとしていた。
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