婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
こんなにも多くの人が、飢えて命を落としているというのに──

なぜ何も、変わっていないの?

私は土に膝をつきながら、乾いた風に吹かれる村を見回した。子どもたちの笑顔も、母親の歌声も、そこにはない。

「どうして……」

思わず声が漏れた。


私が牢に入れられていた数週間で、状況は最悪にまで悪化していた。

それなのに、国は何の政策も打ち出していない。

クリフや……セシリーは、何をしているの?


もう我慢できなかった。

私はグレイブに制止されるのも聞かず、まっすぐに馬を駆った。向かうは、宮殿。

自分が追放された場所へ、再び足を踏み入れるのは怖い。でも──

「見過ごすわけにはいかない……!」

国が沈んでいくのを、ただ眺めているなんて、私にはできなかった。

民の命は、数字じゃない。想いも、痛みも、そこにはある。

だから私は、立ち向かう。たとえ、誰に嘲られても。








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