婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
クリフは――いや、国王は――どんな判断を下すのだろうか。

まさか、あのベンジャミン王と戦うなんて……。

「何が起きてるの……?」

私はただ祈るような気持ちで、宮殿の奥へと足を踏み入れた。


「おお、グレイブ。」

年配の大臣が、真っ直ぐに歩いてきて彼に声をかけた。

「あんなことがあったが、国王はおまえの騎士団長の任を解いていない。この国のために、戦ってくれるか。」

その言葉に、他の大臣たちも一斉に頷き、「そうだ、そうだ」と声を上げる。

あの冷たい宮殿にも、まだ正しき信頼と誠実が残っていたのだと、少しだけ胸が熱くなる。


「国王は?」

「執務室におられる。」

「行ってくる。」

グレイブは、重々しい足取りで執務室へと向かった。

私はその背を見つめるだけで、胸がざわついた。
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