婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
あれだけの裏切りがあっても、グレイブはこの国を見捨てない。

――私も、もう逃げたくない。

「私も行くわ。」

そう言って、私は彼の後を追った。

どんな決断がなされるのか、それを自分の目で確かめたかった。

震える足を一歩ずつ踏みしめながら、グレイブとともに執務室の扉を目指した。


執務室の前に立つと、空気がぴんと張り詰めた。グレイブが扉の前で声を上げる。

「国王、騎士団長のグレイブです。」

少しの間をおいて、低く静かな声が返ってきた。

「入れ。」

あっさりと中に入れてくれたことに少し驚いた。グレイブが扉を押し開け、私たちは中に足を踏み入れる。

そこには、以前と変わらぬ凛とした姿のクリフが座っていた。だが私の姿を見るなり、彼はふっと笑みを浮かべた。
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