アルトは電気羊の夢を見るか【アルトレコード】
 青年になったアルトはいろんな人から相談を受けるようになっていた。
 いまやサポートAIという建前を得たアルトは堂々と研究所内を歩き、その笑顔に癒されると評判だ。

 青いメッシュの入った銀の髪が彼のクールさを際立て、黒い服に青い襟のジャケットがかっこいい。
 週報にまでアルトの記事が載っていて、私は先生として誇らしい。

 が、初めてアルトが週報に載ったときは慌てた。
 ピコン! と週報メールが届いて見てみると、そこには写真つきでアルトの記事が。

『アルトくん目撃情報』なんて、まるで珍しいものを見つけたみたいなタイトル! 前は隠してたから珍しいのはわかるけど……。
慌てて北斗さんのところに行くと、すでに知っていた。それどころか。

「ああ、言ってなかったっけ。俺が許可したんだ」
 優しく答える彼に、私は戸惑った。

「だけどアルトは極秘で……」
「今さらなに言ってるの。それにね、隠すと知りたくなるのが人情でしょ。ここまで来たらいっそ堂々としてたほうがバレにくいって判断したんだ」

「でも……」
 私は心配で、つい反論しそうになって口ごもった。

「アルトももう子どものころのようなミスはしないよ」
「だけど……」
 たしかに外見はすっかり大人になった。背が高くて、見上げるほどで……。それでも彼は私にとっては守るべき対象だ
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