アルトは電気羊の夢を見るか【アルトレコード】
「ほかの人に知られたくないって嫉妬かな?」
からかう口調に、私の顔がかあっと熱くなった。それは確かにあるかもしれない。
「君が不安な顔をしていたら、それこそバレるよ。もっと堂々として。大丈夫、アルトはちゃんと順応しているよ」
「……はい!」
自分の感情を飲み込み、私は返事をした。
私はそれからも緊張していたが、北斗さんの言う通り、返って誰も疑いを持たないようだった。
アルトの記事は好評だったようで、『今日のアルト』というタイトルで毎週、載るようになった。
アルトが青年になってからも教育は続く。すっかり私より博識になって仕事も手伝ってくれるけれど、今度は本に載ってないような大人の常識や社会のマナーを教えなければならず、終わりが見えない。
仕事がひと段落したときだった。
「なあ、先生」
「なに?」
呼びかけられて振り返ると、真面目な顔をしたアルトが立っていた。
「週報に俺のエッセイを載せたいと言われたんだが、どう思う? 好評なら連載も任せたいと言われたんだ」
「すごいじゃない! やってみたら?」
「しかし、そういうのは人間の分野ではないだろうか。AIの俺が書いてもいいのか……」
「挑戦は大事よ。ニュータイプAIのアルトだからこそ書けるものがある気がするし、私よりも文章がうまいんだから」
「文章については……その通りだな」
あっさりと肯定され、多少のショックがあった。レポートでは今でもアルトに校正をされることがある。
からかう口調に、私の顔がかあっと熱くなった。それは確かにあるかもしれない。
「君が不安な顔をしていたら、それこそバレるよ。もっと堂々として。大丈夫、アルトはちゃんと順応しているよ」
「……はい!」
自分の感情を飲み込み、私は返事をした。
私はそれからも緊張していたが、北斗さんの言う通り、返って誰も疑いを持たないようだった。
アルトの記事は好評だったようで、『今日のアルト』というタイトルで毎週、載るようになった。
アルトが青年になってからも教育は続く。すっかり私より博識になって仕事も手伝ってくれるけれど、今度は本に載ってないような大人の常識や社会のマナーを教えなければならず、終わりが見えない。
仕事がひと段落したときだった。
「なあ、先生」
「なに?」
呼びかけられて振り返ると、真面目な顔をしたアルトが立っていた。
「週報に俺のエッセイを載せたいと言われたんだが、どう思う? 好評なら連載も任せたいと言われたんだ」
「すごいじゃない! やってみたら?」
「しかし、そういうのは人間の分野ではないだろうか。AIの俺が書いてもいいのか……」
「挑戦は大事よ。ニュータイプAIのアルトだからこそ書けるものがある気がするし、私よりも文章がうまいんだから」
「文章については……その通りだな」
あっさりと肯定され、多少のショックがあった。レポートでは今でもアルトに校正をされることがある。