年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「頭を上げて! あなたが謝ることはないわ」
奥様が優しく声をかけてくれたが、私は小さく首を振った。その様子を見ていた社長が、苦笑しながら口を開く。
「おじい様は素晴らしい方だったと聞いているが……」
そう言った後、すぐに「娘の君の前で言うことじゃなかったな」と、言葉を飲み込むように続けた。
「いえ、あの父を見れば当然のことだと思います」
どんなに失礼に聞こえる言葉であれ、父の振る舞いを目の当たりにすれば、誰もがそう思うだろう。
「ただ、副社長は優秀な方です。会社の経営やスタッフの問題はありませんので、ご安心いただければと思います」
父がどうであれ、会社のスタッフたちは常に誇りを持ち、一生懸命に働いている。その努力だけは、せめて理解してほしかった。
「それはわかっているよ」
社長は優しい声でそう言い、少し微笑む。
「いつも気持ちよくお客様をお運びできるのは、君たちの力があるからだ」
その言葉を聞いた瞬間、不意に胸が熱くなった。自分の仕事が、ほんの少しでも認められたような気がして、目頭がじんわりと熱くなる。