年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「あら、プレゼントするのは当然でしょう?」
「そのことについてはなにも言ってませんよ」
鷹野君がサラリとそう答えているのが聞こえる。もう着替え終わっていたが、二人の前に出るのが恥ずかしくて仕方がない。しかし、このままずっとここにいるわけにはいかない。

意を決してドアを開けて外に出ると、先ほどよりも少しラフなシャツに、薄手のジャケットを羽織った鷹野くんが立っていた。
「こっちのほうがいいわね」
私の全身に視線を向けると、お義理母様が満足そうにそう答えた。

「そうですね、よく似合ってます。あとは」
そういうと、鷹野君はたくさん並ぶ衣装の中から、薄手の黒のカーディガンを手にして私のもとへと歩いてくる。そして、慣れた様子で私の後ろからそれを肩にかけた。

「調整できるほうがいいですね」
鷹野君が微笑みながら私の顔を覗き込む。その表情は、特別なものではなく、きっと誰にでも向ける何気ない笑顔なのだろう。

しかし――それでも、私はその視線から目をそらせずにいた。次第に顔が熱くなっていくのを感じる。
ただカーディガンを肩にかけてもらっただけなのに、こんなにも動揺するなんて。

彼が今までどれほど恋愛経験を積んできたのか、私には想像もつかない。彼ほどの人ならば、きっとこういうことには慣れているのだろう。
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