年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
ただ、もうすぐ昼時で、彼は今朝フライトから戻ったばかり――。
そう考えれば、まずは昼食を用意するべきなのだろうと思った。
「キッチンもいろいろ揃えてもらってたの。お義母様にお礼を言っておいてね」
そう言いながら部屋を出ると、鷹野君も自然と私の隣に並び、階段へと向かって歩き始めた。
この距離感には、まだ少し慣れない。
「お父上の言葉からして、料理をすると思ったんだろうな」
「……ああ、あの『家事は教えてある』とかいう話ね」
苦笑しながら思い出していると、鷹野君は階段の途中でふと立ち止まり、私の方を振り返った。
「それなんだけど、前にも言ったけどさ。もし無理やり料理をやらされてたとか、嫌な思い出があるなら、本当に家政婦さんに任せろよ?」
その声はいつになく真剣で、まっすぐな視線が私の表情を探るように注がれる。
こんな形の結婚をしたにもかかわらず、鷹野君はやさしすぎる――。