年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
彼の名前を耳にするのは、男女問わず憧れの声ばかりで、まるでアイドルの話をしているかのようだった。それこそ、住む世界が違う。

そんな彼と、まさかの縁談——。

私にとっては唐突な話だったが、父にとっては待ち望んでいたことなのだろう。

『ようやくチャンスが回ってきたんだ』

父の野望がLATグループの重役の座に就くことだと知っていた。それだけに、この機会を逃すまいと狙い続けていたのだ。

だからこの見合いは父が頼み込んだということは容易に想像がつく。しかし、鷹野君の家はメリットなどないはずだ。

「彼は了承したんですか? 彼が私と結婚するメリットはないと思うのですが」

自分で言っておいて、なんとなくむなしい気持ちになるが、本当に鷹野君の周りにはきれいな人ばかりいる。

あえて見合いなどしなくても、選びたい放題だろうし、縁談だとしてももっといい条件の人がいるはずだ。

 

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