年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
『社長夫人が、息子が結婚に興味がないことを気にされていて、見合いを断ることはされないそうだ』

——そういうことか。

鷹野君にとって、見合いなど煩わしいだけだろうが、お母さまの顔を立てて見合いこそ行くが、断り続けているのだろう。

実際、幾度となく見合いはしたかもしれないが、鷹野君は今も独身のままだ。


「鷹野機長にメリットがないならお前が作れ。どんなことをしても、彼の妻の座を得るんだ。身体でもなんでも差し出してこい」

——これが実の娘に言うことだろうか。

なにも言えずにいる私を一瞥し、「見合いは再来週の日曜だ」と言い残して、父は部屋を出ていった。

見合い……か。

別に恋愛に興味がなかったわけではない。小さいころは“お嫁さん”に憧れたこともあった。

けれど、自分にはなにもなく、みんなが沙羅を選ぶ——それに気づいてから、自然と諦めるようになったのだと思う。

 

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