年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

だからこそ、彼の言葉はいちいち心臓に悪い。
しかし、それを悟られたくなくて、平静を装いながらハンバーグの形を整える。

フライパンにそっと並べ、じっくりと焼き始めると、ジュワッと弾ける音とともに香ばしい香りが広がった。
焼き色がついたところでひっくり返し、ふたをして蒸し焼きにする。

「もう少しだから、座ってて」
見られていることに耐えきれず、そう頼むと、さきほど作っておいたサラダを皿に盛り、ご飯をよそう。

焼き上がったハンバーグに目玉焼きを添え、醤油とケチャップを合わせたソースをたっぷりとかける。
最後に仕上げのパセリを振りかけると、それなりにおいしそうに仕上がった。

「父がハードル上げたけど、味はわからないからね」
家族以外に食べてもらうことがなかったため、他の人から見たら味が薄いとか濃いとかあるかもしれない。予防線を張ってしまうのも私の悪い癖かもしれない。

そんなことを思いつつ、ダイニングテーブルにハンバーグプレートを運び彼の前に置いた。
「うまそう」
そう言いながら、彼は私にも座るよう促す。
十人は座れそうな広いダイニングテーブル。どこに座ろうか一瞬迷ったが、彼の正面に自分の分を持っていき、腰を下ろした。
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