年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

そんな日々は思っていた以上に心地よく、気づけば、彼の隣にいる時間を素直に楽しめるようになっていた。
「玄関で待ってる。急がなくていいから」
その声を聞きながら、最後にもう一度鏡に全身を映して確認する。

九月に入り、暦の上では秋だというのに、まだ残暑が厳しい。

薄手のカットソーにブラックのパンツを合わせ、メイクはいつもより少し甘めにした。仕事のときよりもチークはピンク系にし、アイシャドウも柔らかい色合いを選んだ。

やりすぎではないだろうか――そんなことを考えつつ、バッグを手に取る。
これ以上、彼を待たせるわけにはいかない。

玄関へ向かうと、そこには奏多君がすでに靴を履き終えて立っていた。
何気ない立ち姿なのに、不思議と絵になる。

パイロットというより、まるで芸能人と紹介されても誰も疑わないだろう。

けれど、その整いすぎた姿にも、気づけば少し慣れてしまった。本当に、人は順応する生き物なのだと改めて思う。

「今日の服、よく似合ってる」

奏多君の言葉が耳に届いた瞬間、思わずクスクスと笑ってしまった。
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