年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「木村機長とは知り合い?」

思いがけない名前に一瞬拍子抜けする。それと同時に、さっきまで考えていたことを見透かされなかったことに、どこか安堵し、自然と口が軽くなった。
「征爾兄さま? 彼とは小さいころから家同士が親しくて、懇意にさせてもらってたの」
「兄さまって呼んでるんだ」

「え? ああ、そうだね。実の兄じゃないけど」
血のつながりこそないけれど、私にとっては本当の兄のような存在だった。

「小さいころから、私は『役に立たない』って父や沙羅に言われ続けてきたから、そのせいで心を閉ざしてしまった時期もあったんだけど……。でも、そんなときでも征爾兄さまは私にも沙羅にも分け隔てなく接してくれた」

そう言いながら、ふと幼いころの記憶がよみがえる。

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