年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


「鷹野機長と政略結婚?」

「そう。でも、まだ発表は控えてる」
きゅっと唇を結び、そう伝えると、芽衣はじっと私の顔を見つめた。

「望海はそれでいいの? 喜んでる顔じゃないわよね」
さすが長年の友人だ。私の表情から、迷いや戸惑いを感じ取ったのだろう。

「父……社長の性格は知っているでしょう? 沙羅は必要だから、不必要な私で鷹野家と縁を結びたいのよ」
自分で言いながら、胸の奥がじくじくと痛む。この言葉を口にするとき、いつも心がひどく冷えてしまう気がする。

「望海は役立たずなんかじゃないけどね」
芽衣は少しだけ表情を曇らせたが、すぐにいつもの調子で言いながら、もう一度箸を持ち、料理を口に運んだ。その仕草がなんだか優しくて、じんわりと胸が温かくなる。

奏多君も芽衣も、私の周りには優しい人たちがいて、私は恵まれているのだと思う。

「鷹野君も、断れない理由があって結婚したんだけど……彼は本当にこれでいいのかなって……」
私の言葉に、芽衣はゆっくりと頷く。
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