年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「冷たくない? 仕事のときの笑顔やサービスは完璧だけど、プライベートになるといつも冷静に対応しているイメージしかないかな」
確かに、最初はそんなイメージを持っていたかもしれない。
でも今は、彼の苦手なことや素顔を知っている。優しくて、思いやりがあって、温かい人だ。
「そんなことはないかな」
なんと説明すればいいのかわからなくて、それだけを口にした私を見て、芽衣は「違うみたいね」と小さく呟いた。
「始まりはただのきっかけに過ぎないじゃない。未来は自分で作るものよ。幸せ、つかみに行きなさいよ!」
芽衣は茶目っ気たっぷりにそう言うと、「結婚おめでとう」と微笑んだ。
「ありがとう」
おめでとう――本来、結婚とはそう言葉をかけてもらえる出来事のはずだ。
けれど、これまで「役に立て」「ものにしろ」そんなことばかりを言われてきて、結婚を喜ぶことすら許されないような気がしていた。まるで、なにかいけないことをしてしまったかのように。
だからこそ、今、芽衣からの祝福の言葉を受け取り、それに「ありがとう」と返せたことで、少しだけ心が軽くなる気がした。