年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


「でも、相手が彼ね……」
三杯目のビールを飲み始めたころ、芽衣はグラスを傾けながらぽつりと呟いた。
言いたいことはなんとなくわかる気がして、私は苦笑する。

「ねえ、この間の撮影のときは?」
「ああ、あのときはまだお見合いの前。お互い、その話は知ってたけど」
「今はもうお見合い終わったのよね? 結婚したってことは、籍は入れたの?」
その質問はされると思っていた私は、端的に答えを口にする。

「籍は入れて、一緒に住んでる」
「え! そうなの!」

芽衣は興味津々といった様子で身を乗り出してくる。私は小さく首を振り、これ以上は話さないという意思を示した。

「気になるわ。家での鷹野機長」
「気にしなくていいよ」
そっけなく返したものの、ふと彼の姿が脳裏に浮かぶ。

料理をおいしいと言って食べてくれて、一緒に映画を観て意見を言い合い、素の自分でいられる――そんな時間が、いつの間にか心地よくなっていた。
< 180 / 274 >

この作品をシェア

pagetop