年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
鷹野機長なら、沙羅にとっても十分すぎる相手のはずだ。

沙羅は、このことを知っているのだろうか。

そう思った瞬間、父に尋ねるべきだった気がした。

しかし、もし聞いていたとして、知らない、そう答えられたとしてもどうしようもない気がした。

なるようにしかならないだろう。

 

ふっと力が抜け、小さく息を吐いてから、私はグレーがかった雲の向こうに、ぼんやりと浮かぶ飛行機のシルエットを見つめた。

 

「もういいですか?」

カラカラと音を立てて扉を開けて、顔だけのぞいて声をかけると、女将さんがカウンターの中から優しく微笑む。

「いらっしゃい、望海ちゃん。もちろんよ」

開店は十七時からで、腕時計を見るとちょうどその時間を指していた。

早番の今日は、少し残業しても、まだかなり早い時間に終わる。

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