年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「疲れたよね。ご飯食べられる? 作っておいたんだけど」
「望海」
そんな私を、奏多君が穏やかな声で呼ぶ。
「ん?」
先に戻ろうとしていた私は、呼び止められ思わず振り返った。そこには、なぜか立ち止まったままの彼がいる。
まるでなにかを迷っているような、言葉を探しているような、そんな表情を浮かべた奏多君が、次の瞬間、ためらうことなく私を引き寄せた。
ふわりと漂う彼の香水のにおいが鼻先をくすぐり、熱を帯びた体温がじかに伝わる。突然のことに戸惑いながらも、その温もりに包まれると、胸の鼓動が少しずつ速くなっていくのを感じた。
「ただいま」
低く落ち着いた声が耳元で響いた瞬間、ギュッと抱きしめられ、私は息をのむ。
なぜ、今、こんなふうになっている?思考が追いつかず、ただ彼の腕の中で立ち尽くしてしまう。
「どう……したの?」
不意に零れた声は、自分でも驚くほどかすれていた。