年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
こんな些細なやり取りがくすぐったくて、少しだけ頬が熱くなる。助手席へと滑り込むと、奏多君がちらりとこちらを見た。
「ごめんね、待たせた?」
「いや、俺もさっき来たところだから」
そう言いながら奏多君はエンジンをかけ、私もそれを見つつシートベルトを締める。
車が静かに発進し、駐車場を抜けると、午後の穏やかな日差しが街を照らしていた。まだ高い位置にある太陽が、ビルの間から顔をのぞかせ、道路には建物の影が少し濃くなり始めている。
「ねえ、どこで食べるか決めてあるの? まだ時間も早いからどこか寄る?」
いつもなら「何を食べたい?」と聞くことが多いが、今日はそれを言わず、車を走らせている奏多くんに問いかける。