年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「今日は俺が選んで予約した」
「予約もしてくれたの?」
思わず聞き返すと、奏多君は前を見たまま、わずかに口元を緩める。

「たまには、そういうのもいいだろ?」
そう言いながら、ちらりと私を見た。たったそれだけの仕草なのに、不意を突かれたようにドキッとしてしまう。
そして、改めて彼の姿を見て、ふと気づいた。

――今日の奏多君は、いつもとは違う。
パイロットの制服姿でも、仕事終わりのラフな私服でもない。

ダークグレーのスリーピースに、深いネイビーのネクタイ。腕には上品な輝きを放つハイブランドの腕時計。
フォーマルなのに、どこか余裕があり、自然に着こなしているのがまた彼らしい。それがあまりにもよく似合っていて、思わず見惚れてしまう。
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