年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
家族の役に立ちたい。いや、立たなければならない。

そう思って生きてきたし、小さいころから傲慢な父にいつも妹と比べられながら育ったこともあり、理不尽なことも仕方がないと諦めることを覚えたつもりでいた。

しかし、結婚となれば話は別だった。

「嫌です」——そう喉まで言葉が出かかったが、異論を許さないといわんばかりの父を前に、反論することはできなかった。ただ黙り込んでしまった自分を、今になって後悔している。

 
ついまたそのことに思考が移りそうになったとき、ゲートに近づいてくる中年男性が私を呼び止めた。現実に引き戻された私は、振り返って男性に頭を下げる。手には搭乗券が見え、すぐに何か問題があったと悟る。

「すみません、ゲートを間違えたようなんですが……」

すぐに気持ちを入れ替えると、私は柔らかい笑顔を作りながらチケットを確認した。

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