年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
微笑みを浮かべながら当たり障りのない会話を返すが、内心は落ち着かなくなっていた。

まさかこんなところで彼に会うなんて。

奥の個室に入ってくれたのはありがたいが、早々に店を出るべきかもしれない。

実家に帰りたくないが、彼と同じ空間にいるのも避けたかった。
小さく息を吐き、料理を急いで平らげると、残った日本酒を一気に飲み干した。

あまり酔いが顔に出るほうではないが、喉を通る熱さとともに、アルコールがじわりと身体に回っていくのがわかる。

化粧室に寄ってから帰ろう。そう思い、私は席を立った。
店内はまだ賑わっていて、酔った笑い声や談笑する人々の声が響いていた。
それでも、早くここを出たいと思い、化粧室で急いで身だしなみを整える。

そして、ドアを開けた瞬間だった。

「一人で来てるの? 酔ってるみたいだけど、大丈夫?」
薄暗い廊下で、不意に男の声がした。
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