年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「LAT151便、ロンドン発成田行き。一方の主脚(ランディングギア)が降りないトラブルが発生。現在、機内で手動操作を試みていますが、展開できない可能性が高いとのことです。運航管理センター(OCC)と航空管制の指示を待っている状況です」
LAT151便 その飛行機に私の鼓動は急激に早くなる。奏多君が乗っている便ーーー、
もしも、油圧・電動システムの再試行など、あらゆる手段を試みても、車輪が降りなければ、最悪、胴体着陸の可能性も出てくる。そうなればかなりの被害が予想される。
「地上の整備チームは、すでに現場へ向かっているんですよね?」
私は気持ちをなんとか押さえつけると、つとめて冷静に話したつもりだったが、声が震えていたかもしれない。
低空通過を実施し、地上からギアが正しく展開しているかを確認する必要がある。そのためにも、速やかな対応が求められる。
「はい、それはもちろん」
そのとき、重たい革靴の音が響いた。
「お前ら、ちゃんとやってんのか?」
振り向くと、社長である父が現れた。スーツのネクタイを緩め、明らかに苛立った顔をしている。
「俺は責任なんか取らんぞ? もし失敗したら、お前らのせいだからな。あとでどうなるか、わかってるよな?」
現場が一瞬、静まり返る。スタッフたちが一様に顔をこわばらせるのが分かった。
……ふざけないで。