年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「社長、現場の邪魔になります。お引き取りください」
「は? 俺は社長だぞ?」

「社長でも、この場にいるべきではありません」
父がさらになにか言おうとした瞬間、「LAT151便、低空飛行に入りました!」という報告が飛び込んできた。

「OCCの指示に従って、迅速に対応しましょう!」
スタッフたちが一瞬、驚いたような顔をした。

でも次の瞬間、誰からともなく「了解!」と声が上がり、現場が再び動き出す。
私は父をまっすぐ見つめた。

「今は、一秒でも無駄にできません」
父は言い返そうとしたが、スタッフたちが黙々と作業を続けるのを見て、舌打ちすると踵を返した。
――奏多くん。

社長の娘だということが露呈しようが、責任を取らされようが、そんなことはどうでもいい。

彼とのことだって、どんな噂をされてもいい。
すべての人たちが無事に地上に降りられれば、何とでもなることだ。
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