年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「緊張する……」
私は、何回目かわからないその言葉を呟いた。あの事故から数か月たった、十二月。
今日は、LATグループの年末の表彰式などがある、大きなパーティーがある。スケジュールが合う社員が一堂に参加するものだ。LATグループのラグジュアリーホテルで行われ、社員はこの日をとても楽しみにしている。
その中で、奏多くんはパイロットを続けつつ、役員としても活動し、さらに婚約発表も行われる。そして、そこに私も一緒に登場することになっている。
「仕事だと思えばいいよ。って半分仕事だし」
完璧な正装姿で私を見つめる奏多くんを、ちらりと見やる。ブラックのモーニングがまた似合っていて、また女の子たちの注目を集めるんだろうな。そんなことを思う。
「でも、辞任した父の娘ってことも知られちゃうよ?」
「そんなこと関係ないよ。俺は別にLATスカイの社長令嬢と結婚をしたわけじゃない。望海だから結婚をしたんだから」
相変わらずすごいセリフをさらりと言う奏多くんに、つい緊張も忘れて笑ってしまう。
「でも、ひとつだけ納得いってないんだよな……」
「なに?」
そう言うと、奏多くんは私のそばに来て、そっと首筋に触れた。その触り方が少し熱を帯びていて、私は声が出そうになる。