年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

その声が、少しだけ震えてしまったのを、自分でもわかっていた。
最後は彼に申し訳なくなり、小さく頭を下げると、そのまま視線を自分のパンプスに落とした。
「こんなに立派に仕事をしているのにですか? LATスカイにとって若林さんの存在は大きい。それなのに?」

「ありがとう、そう言ってくれて……」
そんなことを今まで口にしてくれた人は誰もいなかった。私を必要としてくれる人がいたことに、少し心が温かくなる。

「若林さん、恋人は? もしくは誰か想う人とかいるんですか?」
「え?」
今の話を聞いてどうしてその問いになるのかわからず、顔を上げて鷹野君を見据えた。

「恋人? いないけど……」
「本当ですか? 好きな人は?」
私の恋愛事情など、秘密にするようなことはない。

「私みたいに地味な女にそんなこと聞かないで。沙羅とは違うんだから」
少しひねくれた言葉があふれてしまい、慌てて閉を閉じる。
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