年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
Side 奏多

俺は幼いころから、いずれLATグループを継ぐことが当然だと思われて育った。経営の勉強も帝王学も、祖父や父に叩き込まれてきたが、それが窮屈だと感じたことはない。両親が俺の選択を尊重してくれる人たちだったからだろう。

父は厳しいながらも公平な人だったし、弟は経営の道へと進んでいたこともあり、「パイロットになりたい」と話したときも、初めは反対されたが、最後は「中途半端なことはするな」と言って俺を送り出してくれた。

そして母は、お嬢様育ちではあったが、穏やかで良き母だった。しかし、体が弱かったこともあり、俺たち兄弟を出産したあとは入退院を繰り返している。

自分の体調を気にしていたのか、母はことあるごとに俺たちに見合いの話を持ちかけた。騙し討ちのように女性に会わされたこともあったが、そのときも母は楽しげに笑っていた。
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