年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
どこか憎めない母。俺だって結婚をして母を安心させたい気持ちはあるが、どの女性も俺のステイタスしか見ていない気がして、どうも乗り気になれなかった。
だから、仕事終わりに実家に呼び出されたときは、きっとまた同じ話だろう。そう諦めていた。
「今度のお嬢さんは、今までとは違ってお淑やかな人よ」
ウキウキとした母に、俺はなにも言えず、釣書を手にした。確かに、これまで母が持ってきた見合い相手は、どこかの令嬢ではあったが、華やかで、化粧も濃く、香水の香りが強い女性ばかりだった。
俺がずっと断り続けていたので、母は方向性を変えたのだろう。
「ふーん」
そう言いながら釣書に目を通し、写真を見た瞬間、動きが止まった。
「……彼女?」
「ええ、LATスカイのご令嬢よ」
俺が釣書を目にしても、その女性のことを聞いたことがなかったため、母は喜々として説明を始めた。妹がいること、俺の二歳年上であること、そして、LATスカイで働いていること——。
俺は心の中で「知っている」と呟いていた。俺が新人のとき教育担当だった若林望海。