年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

いつも通り仕事をこなし、昼休み。空港関係者が利用するランチルームで、本社広報部に勤務する水(みず)原(はら)芽(め)衣(い)、そして後輩の莉子ちゃんと昼食をとっていた。芽衣とは大学からの友人で、職場は違うが親しくしている間柄だ。

白いテーブルが整然と並ぶランチルーム。外の滑走路が見える大きな窓の向こうからは、飛行機のエンジン音が微かに響いてくる。栄養バランスが良く、お手頃な価格で食事ができるこの場所は、私のお気に入りでもある。

「今日ね、撮影があるの」
本社から出張でやってきていた芽衣が、いいことを教えてあげると言わんばかりに楽しそうに口にした。私は朝食が少なかったこともあり、Aランチの白身魚のフライを口に運びつつ、その話を聞いていた。

「撮影って、どんなのですか?」
私とは反対に興味津々の様子の莉子ちゃんは、箸を置き、前のめりになって芽衣に尋ねた。

「うちの会社の採用パンフレットに載せる特集ページ。なんと、あの鷹野機長がOKしてくれたのよ。グランドスタッフとパイロットの対談企画。将来を考える学生たちに、〝チームで空を支える仕事〟を伝えるってテーマでね」

「え?」
思わず声が出た。驚きのあまり、手に持っていた箸が止まる。
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