年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「望海? どうしたのよ、急に」
芽衣が怪訝そうにこちらを見つめる。
「いや……鷹野機長が、珍しいなって」
とりあえずの言葉で取り繕ったが、胸の奥に引っかかる違和感は消えなかった。
鷹野君は、そういう場に出るタイプじゃないと思っていた。いくら会社のためとはいえ、採用広報の目玉として取材に応じるなんて、彼らしくない気がした。
いつも冷静沈着で、余計な注目を浴びることを嫌う人。過去にも何度か広報の企画を断ったと芽衣から聞いたことがある。そんな彼が、なぜ今回に限って引き受けたのだろう――?
「珍しいどころじゃないのよ。断られるとばかり思ってたんだけど……どうしたのかしらね」
芽衣は目を輝かせながら、興奮気味に話し続ける。
「本当はね、望海に頼みたかったのよ。対談相手に」
「え?」
私は味噌汁を飲む手を止め、思わず顔を上げる。
「相手は鷹野機長だし、失礼がないように、きちんと対応できるベテランの人がいいって。広報部内でも、全員そのつもりだったのよ
」
「……なに勝手に決めてるのよ?」
私に相談もなく、そんな話が進んでいたことに、驚きとほんの少しの苛立ちが入り交じる。思わず芽衣を睨むと、彼女は肩をすくめて、
「ごめん」と小さく謝った。