年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない

「北村さん」
ふっと穏やかに微笑みながら、鷹野君が口を開いた。

「はい?」
「申し訳ありませんが、髪型とメイクは規定のものに戻してもらえますか」
「えっ……?」
「会社としての統一感を大切にするためです。皆さん、同じルールのもとで仕事をしていますからね」
北村さんは明らかに不満そうに口を尖らせる。しかし、鷹野君は穏やかな笑みを崩さず、けれど有無を言わせない雰囲気をまといながら続けた。

「そのままでは、取材の写真も使えなくなってしまいますよ?」
「……わかりました」

渋々といった様子だが、最後に鷹野君が微笑むと、北村さんは観念したように別室に向かった。
やはり、写真が使えなくなるのは困るのだろう。せっかくの取材で、自分が映る機会を逃したくないという気持ちが勝ったのかもしれない。

私が内心、鷹野君に感謝しつつ、その揺るがない姿勢に改めて感心していたとき、ひとりの男性が入ってくるのが見えた。

――けれど、なぜ彼がここに。
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