年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
現場の空気が一瞬、張り詰めたように感じられた。
「うわ、木村機長まで……」
隣で莉子ちゃんが、うんざりしたような声を上げる。
「え?」
思わず問いかけると、莉子ちゃんは耳元でそっと囁いた。
「きっと北村さん、鷹野機長と木村機長を呼んでって、パパにおねだりしたんですよ」
「どういうこと?」
「だって、あの子の狙いって、お金持ちのイケメンだって明らかじゃないですか。鷹野機長だけじゃなくて、木村機長も御曹司ですよね?」
莉子ちゃんの視線を追うと、確かに戻ってきた北村さんは征爾君を意識しているように見える。
確かに、鷹野君がどうのこうのというより、北村さんがお願いした可能性は否定できない。もしくは自分の娘に鷹野機長と見合いをさせている手前、北村さんの矛先を征爾君に向けたいのだろう。そういうところだけは、頭が回る人なのだ。