年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「……望海、ごめん。やっぱり、少しだけフォロー、お願いできない?」
芽衣が申し訳なさそうに声をかけてきた、そのすぐあと。

「彼女には、まだ難しいようだな」
征爾君がはっきりとそう口にし、ため息を吐く。

「でも……先に質問の内容を伝えておいてくれれば、こんなことには……」
まるで芽衣たちのせいだと言いたげな北村さんの言葉に、私は思わず眉をひそめた。
すると芽衣が、静かに、しかしはっきりと口を開く。

「事前に質問内容も、構成案もお渡ししていますよね」
事実として告げられても、北村さんは「えー。そうでしたっけ?」と、のんきに首を傾げた。

一緒に仕事をしてきた中で、芽衣の準備に落ち度があったことなど、一度もない。
むしろ、資料にきちんと目を通していなかった彼女自身の問題だ。起用の経緯はともかく、任された以上、責任を持って臨むべきだった。

「仮に質問を見ていなかったとしても、大した内容ではありませんでしたよ。少なくとも今のところは」
私たちのやり取りを静かに見ていた鷹野君が、ふっと微笑みながらそう口にした。
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