年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
穏やかな声だったが、その言葉には一切の容赦がなかった。北村さんの顔から、みるみるうちに血の気が引いていく。
まるでなにかを突きつけられたかのように、唇を微かに震わせた。
「……ひどい」
絞り出すような声で呟く彼女に、誰も声をかけなかった。
鷹野君にしても征爾君にしても、普段ならこんなことは口にしないはずだ。
彼女の父親がこの場にいることを思えば、なおさら。
――それでもあえて言葉にしたということは、それだけ彼女の振る舞いがひどかった、ということにほかならない。
けれど……ここで泣かれでもしたら、それはそれで面倒なことになりそうだった。
「あの、私が入ります」
そう言った私に、北村さんがすぐさま声を上げた。