年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
「さあ、できましたよ」
「……ありがとうございます」
着付けを終え、ふと鏡を見ると、そこには「振袖を着た自分」が立っていた。白地に淡い紫の花模様があしらわれ、上品で落ち着いた雰囲気を醸し出している。誰が選んだのかはわからないが、赤やピンクのような華やかな色合いでなかったことだけは、せめてもの救いだった。
「さあ、いきましょうか」
その言葉が意味するのは、見合いの時間が迫っているということだった。
もしこの見合いがなくなったとしても、きっと父はまた別の相手を探してくる。結局、私には選ぶ自由はないのだ。
それならば、よく知っている鷹野君の方がまだましだ——そう思ってしまう自分がいる。でも、年上で地味な女なんて、彼が選ぶはずもない。