年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


頭の中をさまざまな考えが巡る。それでも、どれだけ悩んだところで、今の私に答えを出せるはずもなかった。
階下で待っているであろう父の顔を思い浮かべると、思わず大きなため息が漏れた。

それでも、行くしかない。

部屋を出て階段へ向かうと、冬でもないのになぜか寒々しい空気を感じる。白を基調とした大きなモダンな建物は、外から見れば立派に映るのだろう。けれど、私にとっては昔からどこか落ち着かない場所だった。

広々とした玄関ホールには、無駄に高い天井と大きなシャンデリア、そして冷たく光る大理石の床。そのすべてが、ただの虚飾に思えてならない。
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