年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
ここで断れば、父が激昂し、この場はきっとさらに荒れる。鷹野君もそれを察して、話を進めようとしてくれたのだろう。
「はい。私でよろしければ」
私の声はどこか他人事のように響いて、自分の口から出た声だとは思えなかった。答えて深く頭を下げると、横に座る父が満足そうに頷いたのが見えた。その姿に胸の奥でなにかがズキリと痛むのを感じた。
「妹には及びませんが、好きに使ってください」
父の口から発せられたその一言に、私は息を止めた。自分の発言がどれだけ娘の品位や家の格を下げているかなんて微塵もわかっていないのだろう。むしろ、これが礼儀だと信じ切っているのだ。そんなときだった。
「この後、望海さんと少しお話をする時間をいただいてもよろしいですか?」
鷹野君は先ほどまでの怒りをひそめ、穏やかな声でそう提案する。縁談が決まったことにすっかり浮かれている父は、なんの迷いもなく声を弾ませた。