キスはボルドーに染めて
 つまり今年収穫した葡萄が、ワインとなって売り出されるのは三年後になる。

 一方このプリムールは、その熟成途中で売り出されるため、世界で一番早くに、一番安い値段で有名シャトーのワインを購入できる唯一の機会となるのだ。


「音羽商事は毎年このプリムールに参加していて、今までの余剰分も含めて、ワインセラーには各年度のワインが保管されている。それを陽菜美の案の“生まれた年のワイン”として、OTOWineとOTOMallで打ち出したらどうだろう? 多少値は張るものもあるが、明らかに一般的な価格よりは抑えられる。確実に興味を持つ層はいるはずだ」

 蒼生の言葉に、陽菜美は「あぁ」と声を上げる。

「だからOTOWAグループの企画なんですね」

「そう。うちだからこそできる、三社の強みを生かした企画だ」

 蒼生の自信を持った顔つきに、陽菜美はにっこりとほほ笑んだ。

「すごくいい案だと思います!」

 瞳を輝かせながら見上げた陽菜美に、蒼生は力強くぐっとうなずいたのだ。
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