キスはボルドーに染めて
 陽菜美はそのまま、蒼生の首筋にそっと唇を当てた。

「本当に陽菜美は……」

 蒼生の押し殺したような声が、身体を伝って聞こえてくる。

 陽菜美はくすりと肩を揺らすと、蒼生の胸元に顔をうずめた。


 しばらくして蒼生は部屋の前で足を止めると、慣れた手つきでキーのロックを解除する。

 バタンと背後で扉が閉まる音が響いた瞬間、二人は抑え込まれたものが弾けるようにお互いを求めて唇を重ねた。


 重なった唇はすぐに深くなり、熱い吐息へと変わっていく。

 パンプスを脱ぐのももどかしいほど、一気にすべてを手放した二人は、溺れるようにベッドに沈み込んだ。


 蒼生に触れられる度、陽菜美の身体は敏感に反応する。

 二人は何度も熱いため息を零しながら、これが夢か現実かもわからない程にお互いを求め続けた。


「陽菜美」

 蒼生の低い声が、陽菜美の身体の芯に響く。

「大切にする」

 真っすぐな瞳でそう言った蒼生に、こくんとうなずき返した陽菜美は、何度も上り詰めたあと、意識を手放すように眠りに落ちた。
< 136 / 230 >

この作品をシェア

pagetop