何か勝手に逆ハーレム

溝渠の恋/ファミレスにて

 あのファミレスは大学と高校が近いからいつも煩いと知人が愚痴っていたのを、入店してから気付いた。サッサッと食べて帰ればいいかとタブレットを触っていると、大学生のグループが入ってきた。体格からして体育会系の集団は、観葉植物を挟んだ隣の席に座った。ドリンクバーに行った時、大学生グループの席から通路を挟んだ席に片想いの中のルナちゃんが座っていた。入店した時にはいなかった……いや、全フロアを確認していたワケではなかったので僅差だったのかもしれない。
 話しかけてみたいが、自分達の事情を知らないヤツから見れば三十路男が女子大生をナンパするキモい光景でしかないだろう。今回は諦めようと席に戻る。再びそっとルナちゃんに視線をやると、彼女の向かいと隣に男子大学生が座っていた。ルナちゃんが持っていたスイーツフェアのメニュー表を向かいの男が奪い取ってスタンドに戻し、隣の男がタブレットを見せる。彼女の反応からして彼らは親しい間柄だと窺えた。
 ……ルナちゃんは、バイト先の常連の一人でしかない俺を酸いも甘いも嚙み分けた大人だと尊敬してくれるけど。歳の差というのは、リスクの方が高い。こんな風に外で気軽で関わる事を躊躇わせる程に。
 最初に入ってきた大学生グループの一人が、奢りなのか唐揚げとフライドポテトの乗った皿をルナちゃんがいる席に置く。注文は遅遅として決まらない。
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