何か勝手に逆ハーレム

溝渠の恋/レース会場にて

 場違いな場所に来てしまったと、少し後悔した。実際のところは自分と同年代や年嵩の大人は周囲に大勢いて浮いている事は特にない。
 うっかり惚れてしまった女子大生は、大学であるスポーツクラブの選手兼マネージャーをしていると知って更に「世鷹でレースがあるんです。お時間あれば見に来て下さい」と言われてホイホイやってきた。ルナちゃんの興味がある物のほとんどが、今まで自分が見向きもしなかったモノばかり。新鮮ではあるが、やはり門外漢だなと冷めた気持ちもあった。
 彼女が所属する大学のテントを見つけたので近寄る。初めて見るジャージ姿の彼女はテキパキ動き回っていた。こっちに気付く余裕はないようだ。今ならファンが何人も詰め掛けていているから、自分がカメラを構えても不審がられないだろう。ルナちゃんにレンズを合わせようとした時、彼女に話しかけた先輩と思われる男子がギロリとこっちを睨みつけた。視線の先は自分だったのかは判らない。しかし挙動不審でいれば分が悪いのは自分だったので退散する。その後自販機で彼女と再会するが、今度は別の大学に進学した元先輩に見つかって弁解に冷や汗をかいた。
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