もう一人の私に出会った夏
初めてキャプテンになったことで、千歳ははりきっていた。

いや、はりきっているというよりは、使命感みたいなものを、自分勝手に背負いこんでいた。


「ち、千歳…」

他のメンバーは、息が上がって、ハアハア言っている。

「少し…休もう…」

千歳はくるっとみんなを見た。

「何を言ってるの?ここで休んだら、優勝できないよ!」

千歳は再び、プールの中に入って行った。

「ほらほら。」


みんなはよろめきながら、プールの中に入った。

千歳はみんなが、中に入らないうちから泳ぎ始める。

それに続いて、メンバーは泳ぎ始めた。

千歳がゴールに着くと、一人だけ遅れているメンバーがいた。

伊万里だ。

やっとゴールに着いた伊万里は、もう倒れそうだ。

「はい、伊万里だけもう一本。」

みんなは千歳の言葉にギョッとした。

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