もう一人の私に出会った夏
「ちょっと千歳!伊万里のこの状態見れば、できるかできないか分かるでしょう?」

佳が言った。

千歳はプールサイドに座った。

「まさか、できないって言うの?」

伊万里を見ると、苦しそうに千歳を見ている。

「大会で優勝する為には、苦しい時でも泳ぎ続けられる気力と、体力が必要なんだって。」

みんなもそれは分かる。

「それに伊万里は、周りの人より体が小さいから、人一倍努力しないとダメなんだよ。」

佳は、千歳のその言葉を聞いて、顔をしかめた。

「なんて言った?千歳。」

近づいてくる佳に、千歳はもう一度言った。

「体が小さいからスピードが遅いの!」

「そんなの関係ないでしょ!」

佳が叫んだ。

「だって、本当のことじゃない!」

千歳も強気だ。

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