【コンテスト用シナリオ】地味カレ、夜はNO.1ホストさま!?〜この恋、背負い投げで一本勝ち〜

〇ホストクラブ・半個室・夜
ト書き:
煌びやかなシャンデリアの下。
蓮――“レン”として完璧に着こなした姿で、小春のグラスにノンアルドリンクを注ぐ。
蓮(レン)「乾杯、姫。今夜だけは、君の一番でいさせて?」
小春「っ……あの、はい……!」
ト書き:
赤くなる小春。笑みを浮かべるレン。
その仕草は昼の蓮とまるで違う。
小春(モノローグ)
(やばい……ぜったい演技ってわかってるのに……なんでこんなドキドキするの!?)

〇ホストクラブ・ホール側
ト書き:
カーテンの向こう、ホールのにぎやかな席。
女性客たちがスタッフに話しかけている。
女客A「ねぇねぇ、レンくんって、いまフリーじゃないよね?」
スタッフ「はい、いまはお客様とご一緒です」
女客B「え、さっき見かけた子じゃない? なんか……地味じゃなかった?」
女客A「てか、レンくんの“仮カノ”とかじゃないよね?」
ト書き:
ざわつく様子。

〇ホストクラブ・半個室・直後
ト書き:
小春がメモ帳を広げてメモを取り始める。
小春「えーっと……“距離感はギリギリまで攻めること”。“名前を呼ぶときは目を見て”……!」
蓮(レン)「なんだそれ」
小春「“ホスト短編”の取材用です!」
蓮(レン)「君、変わってるな……」
ト書き:
と、その時。スタッフに連れられて、一人の女性客(女客A)がひょこっと顔を覗かせる。
女客A「あ、ごめんなさい~。ちょっと通りかかっただけで♡」
ト書き:
女客の目が小春をなめまわすように見て――にやり。
女客A「……その子、仮カノ?」
小春「え、か、仮カノ!? なんですかそれ!?」
ト書き:
小春があたふた。
蓮は一瞬、眉をひそめ――
蓮(レン)「違います。俺が連れてきた“大事な客”です。……茶化すの、やめてもらえます?」
ト書き:
女客A、気まずそうに笑って去っていく。
小春はまだドキドキが収まらない様子。
小春「……“大事な客”って、言ってくれた……」
蓮「他の奴に、君のこと勝手に決めつけてほしくなかっただけ」
小春(モノローグ)
(ちょっと……うれしい)

〇ホストクラブ・エントランス・深夜
ト書き:
クラブの外、ひんやりした空気。
蓮がコートを小春の肩にそっと掛けている。
蓮「今日のことは、他言無用で」
小春「もちろんです!」
蓮「それと、ホスト短編、完成したら……読ませて」
小春「えっ……ほんとに!?」
蓮「君の感性、わりと気になってる」
ト書き:
顔を赤らめてうつむく小春。
蓮はその横顔を、ふとまっすぐに見つめる。
蓮(モノローグ)
(こんなにまっすぐ見つめてくる子、いままでいなかった、なんか、おもしろいな)

TO BE CONTINUED…
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