御曹司様はご乱心
第十一話 鳥羽家にて
◇◇◇『スーパー望月』のロッカールームにて、準備中のさくらを母が呼び出す◇◇◇
さくらの母「ねぇ、ちょっとさくら」
◇◇◇さくらとさくら母、ともに隣室の事務所を扉の隙間から伺う◇◇◇
◯応接用のソファーに二郎がふんぞり返っている。
二郎「ふんっ! この僕がここで働いてあ・げ・るって言ってるんだ。
君たち庶民は土下座してありがたがるがいい。
そして感涙しつつ僕を歓迎しなよ」
◯二郎につきそう黒服のSPの男性が、さくらの父二平身低頭に頭を下げる。
SP「望月さま、まずはこちらをご挨拶代わりに」
◯SP、さくらの父に高級菓子折りをてわたそうとするが
さくらの父「けっ……けっこうです」
◯さくらの父、青い顔して恐縮する。
さくら母「なんでもね、あの子、鳥羽建設のご子息らしいのよ」
◯さくら母、となりのさくらに耳打ちする。
さくら(やっぱり)
さくらモノローグ
なるほど顔立ちや雰囲気が、やっぱり鳥羽さんとよく似ている。
まわりに威圧感を与える物言いや、雰囲気のせいで誤解しちゃうんだけど、
多分あの子もそんなに悪い子じゃないような気がした。
さくらの母「なんだってそんな大企業の息子さんが、
うちみたいなスーパーでアルバイトをしたいっていうんだろう」
◯さくら母、腑に落ちないと、しきりに首を捻っている。
さくら父「おい、君! これは遊びじゃないんだぞ!
それは分かっているのか?」
◯さくら父、真剣な眼差しを、二郎に向ける。
二郎「当然だ。この僕を誰だと思っているんだ?」
◯二郎腕を組んで、あくまで上から目線。
さくら父「まずその態度だ」
◯さくら父の眉間に怒りの青筋が立っている。
さくら(マジで恐い)
◯さくら、父の雰囲気にビビる。
さくら父「年上に対してはきちんと警護を使いなさい。
君のような態度は大変見苦しい」
◯厳しく言ったさくら父を、二郎が鼻で嗤う。
二郎「オジサン、時代錯誤も甚だしいね。
そんな大昔の価値観を押し付けられても……」
さくら(だめだっ! 父が ブチ切れる)
◯さくら、ぎゅっと目を閉じるた瞬間、
パートの小林「ちょっと店長! さくらちゃんっ!
レジの人手が足りないんですけどっ!」
◯パートの小林が入ってくる。
二郎「あっ!」
◯小林の顔と名札を見た二郎の時が止まる。
二郎「レディ、僕がお手伝いします」
◯二郎、恭しく小林の手を取る。
パートの小林「うん? あんた新入りかい?」
二郎「ええ、本日付けでこちらのスーパーでお世話になります、
鳥羽二郎と申します。以後お見知りおきを、レディ」
◯二郎、うっとりと小林を見つめて、その手の甲に口付けた。
◇◇◇場面転換、場所は総一郎の実家である鳥羽邸。
都内の一等地に居を構える、純和風の大邸宅◇◇◇
◯総一郎が、ポルシェのケイマンを乗り付ける。
執事「旦那様、総一郎様が到着されました」
◯執事が報告すると、庭でやたらと立派な盆栽の手入れをしていた総一郎の父が、
厳しい眉をピクリと動かした。
◇◇◇
さくらの母「ねぇ、ちょっとさくら」
◇◇◇さくらとさくら母、ともに隣室の事務所を扉の隙間から伺う◇◇◇
◯応接用のソファーに二郎がふんぞり返っている。
二郎「ふんっ! この僕がここで働いてあ・げ・るって言ってるんだ。
君たち庶民は土下座してありがたがるがいい。
そして感涙しつつ僕を歓迎しなよ」
◯二郎につきそう黒服のSPの男性が、さくらの父二平身低頭に頭を下げる。
SP「望月さま、まずはこちらをご挨拶代わりに」
◯SP、さくらの父に高級菓子折りをてわたそうとするが
さくらの父「けっ……けっこうです」
◯さくらの父、青い顔して恐縮する。
さくら母「なんでもね、あの子、鳥羽建設のご子息らしいのよ」
◯さくら母、となりのさくらに耳打ちする。
さくら(やっぱり)
さくらモノローグ
なるほど顔立ちや雰囲気が、やっぱり鳥羽さんとよく似ている。
まわりに威圧感を与える物言いや、雰囲気のせいで誤解しちゃうんだけど、
多分あの子もそんなに悪い子じゃないような気がした。
さくらの母「なんだってそんな大企業の息子さんが、
うちみたいなスーパーでアルバイトをしたいっていうんだろう」
◯さくら母、腑に落ちないと、しきりに首を捻っている。
さくら父「おい、君! これは遊びじゃないんだぞ!
それは分かっているのか?」
◯さくら父、真剣な眼差しを、二郎に向ける。
二郎「当然だ。この僕を誰だと思っているんだ?」
◯二郎腕を組んで、あくまで上から目線。
さくら父「まずその態度だ」
◯さくら父の眉間に怒りの青筋が立っている。
さくら(マジで恐い)
◯さくら、父の雰囲気にビビる。
さくら父「年上に対してはきちんと警護を使いなさい。
君のような態度は大変見苦しい」
◯厳しく言ったさくら父を、二郎が鼻で嗤う。
二郎「オジサン、時代錯誤も甚だしいね。
そんな大昔の価値観を押し付けられても……」
さくら(だめだっ! 父が ブチ切れる)
◯さくら、ぎゅっと目を閉じるた瞬間、
パートの小林「ちょっと店長! さくらちゃんっ!
レジの人手が足りないんですけどっ!」
◯パートの小林が入ってくる。
二郎「あっ!」
◯小林の顔と名札を見た二郎の時が止まる。
二郎「レディ、僕がお手伝いします」
◯二郎、恭しく小林の手を取る。
パートの小林「うん? あんた新入りかい?」
二郎「ええ、本日付けでこちらのスーパーでお世話になります、
鳥羽二郎と申します。以後お見知りおきを、レディ」
◯二郎、うっとりと小林を見つめて、その手の甲に口付けた。
◇◇◇場面転換、場所は総一郎の実家である鳥羽邸。
都内の一等地に居を構える、純和風の大邸宅◇◇◇
◯総一郎が、ポルシェのケイマンを乗り付ける。
執事「旦那様、総一郎様が到着されました」
◯執事が報告すると、庭でやたらと立派な盆栽の手入れをしていた総一郎の父が、
厳しい眉をピクリと動かした。
◇◇◇
