婚前一夜でクールな御曹司の独占欲に火がついて~旦那様は熱情愛で政略妻を逃がさない~
 そうして考えたのが、『結婚前に火遊びしてくれませんか?』計画である。ふたりきりで、しかもあんなに長く話すのはすごく緊張したしドキドキだった。明季は呆気にとられていたようだったが、事前に考えていた言い訳をつらつらと並べるとなんとか納得はしてもらえた。呆気にとられている彼の顔もとてもかっこよかった。
 社内でもどうやら彼は特定の恋人は作らずに来るもの拒まず、去るもの追わずのスタンスで上手く遊んでいるらしいと噂で聞いていたから、きっと受け入れてもらえるのではないかと思っていたが……了承してもらえて、本当にうれしい。いつもクールな彼は内面も冷徹な人間だと思われがちのようだが、過去の件で優しい一面を持っていることを蘭は知っていたから、あの突飛な提案に踏み切ることができたのだ。やっぱり彼は優しかった。好きが止まらない。
 しかし、蘭はわかっている。調子に乗ってはいけない。明季が自分に情けをかけてくれるのは、蘭が政略結婚の相手だからだ。家のために結婚するだけの女。愛など求めてはいけないし、来るもの拒まず、の件から察するに、きっと彼は特別な存在を作るつもりがないのだろう。誰のものにもならない、孤高の存在。そんなところもたまらない。好き。

 明日の準備は万全だ。以前幼なじみに聞いた、多くの男性をよろこばすことができるというアレも用意したし、ここしばらくボディケアも念入りにおこなった。今の蘭は全身つるつるピカピカである。どこからでも召し上がってくださいという心持ちだ。
 恥ずかしさや未知の世界への恐れもあれど、好きな人に触れてもらえるうれしさやワクワクの方が大きい。きっと明季にはなんでもないことなのだろうが、蘭はこの想い出を生涯大事に抱えて、自分の感情を殺しながら妻役を務めあげるつもりなのだ。まあ愛されはしなくとも、思う存分彼を近くで見られる生活はいざ始まればきっと全力で楽しんでしまうのだろうけれど……。

 彼からの愛は望まない。自分にはおそれおおくて、望むことはできない。
 でも、幸せだ。形だけでも、好きな人と夫婦になれるのだから。
 写真立ての中で寄り添って笑う大好きな両親におやすみの挨拶をし、蘭は眠りについた。
 約束の日がやってくる。


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試し読みはここまでとなります
続きは2025年6月19日発売の書籍版にてお楽しみください
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