ひと夏の星に名前をつけるなら
星を見ると、不思議と心が静かになる。

だから私は、毎年この森へ来る。

街灯のない小道を進むと、少し開けた場所が姿を現す。

上を見れば空を覆うような無数の星が、音もなく瞬いている。

そっと深呼吸をする。

生い茂った緑の香り、優しく髪を攫う風。

夜空を見上げて自分とだけ向き合うこの時間が、たぶん私にとって必要なものなんだと思う。

誰にも理解されなくていい、ただ少しでも息がしやすくなるように。

星たちが私を温かく見守ってくれているような気がした。
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